災害時に蓄電池はどれほど役立つのか?
「蓄電池って、停電時に本当に役立つの?」
「災害は心配だけど、停電なんて滅多にないし、なくても平気じゃない?」
こうした疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
確かに、日本で停電は滅多に発生しませんが、日本は地震や台風、大雨などの自然災害が頻発する国です。予測できない災害に備えるため、今から停電対策として「蓄電池」を選ぶことには大きなメリットがあります。災害が発生してから「備えておけばよかった」と思うのではなく、事前に備えておくことが重要です。
蓄電池の基本性能と停電時の活用法
停電が発生すると、日常生活に大きな影響を及ぼします。特に大規模災害の場合、復旧まで数日、または数週間かかることもあります。
太陽光発電を導入している家庭でも、夜間や曇天時には発電量が不足しがちです。
蓄電池を導入することで、以下のメリットがあります:
- 一定量の電力供給を確保
冷蔵庫や照明、スマートフォンの充電など、最低限の生活に必要な電力を確保できます。 - 快適な生活の維持
容量が大きな蓄電池を使用すれば、エアコンやテレビなどの家電も使用可能です。ただし、容量や出力、使用する家電の消費電力を把握し、計画的に使用することが重要です。
実際の使用例でイメージする
停電時の生活を具体的に見てみましょう。
前提条件
- 家族構成:夫婦と小学生2人の4人家族
- 停電発生時間:真冬の午後5時
- 復旧予定:翌朝5時(12時間)
必要な電力量
家電 | 使用時間 | 消費電力(Wh) | 合計(Wh) |
---|---|---|---|
照明(6時間) | 6時間 | 50 | 300 |
携帯電話の充電(2台分) | – | 10 | 20 |
冷蔵庫(12時間) | 12時間 | 100 | 1200 |
調理(電子レンジなど) | – | 200 | 200 |
合計 | 1,720 |
エアコンやテレビを使用する場合、必要電力量はさらに増加し、9,000Wh以上になることもあります。容量が小さい蓄電池ではすべての家電を使うのが難しいため、優先順位をつけることが大切です。
見落としがちなポイント
停電時に蓄電池を使用する際の注意点も確認しておきましょう。
- 待機電力のカット
冷蔵庫以外の家電のコンセントを抜いて待機電力をゼロに近づけると効果的です。 - 容量選びのポイント
家族構成や生活スタイルに合わせて容量を選びましょう。4kWhで最低限の生活、10kWh以上で快適な生活が目安です。 - 太陽光発電との併用
晴天時には太陽光発電を活用し、蓄電池を効率よく使うことで長期停電でも対応可能です。
実際に役立った事例
日本での災害時における蓄電池と太陽光発電の実例として、以下の事例があります:
- 西日本豪雨(2018年7月)
- 広範囲で停電が発生し、復旧まで数日かかる地域もありました。蓄電池を備えた家庭では冷蔵庫や照明などが使用でき、基本的な生活が維持されました。
- 太陽光発電システムを設置していた家庭では、長期の停電にも支障なく生活できました。
- 北海道胆振東部地震(2018年9月)
最大震度7を観測した地震により、北海道全域で停電が発生。電力会社管内のほぼ全域で電力が止まる「ブラックアウト」(全道停電・北海道大停電)となり、約295万戸に影響が及びました。- 蓄電池を備えた家庭では冷蔵庫や照明が利用でき、生活の維持が可能となりました。
- 太陽光発電システムが設置されている家庭では、太陽光による発電と蓄電池の組み合わせで、停電中でも電力の供給が続き、生活の質が守られました。
- 台風21号(2018年9月)
約240万戸が停電。特に強風による停電が長時間続き、生活に支障をきたしました。- 太陽光発電と蓄電池が設置されている家庭では、停電中でも電力が供給され、冷蔵庫や照明などの基本的な家電を使い続けることができました。
- 台風15号(2019年9月・千葉県)
約64万戸が停電し、特に長期間の停電で多くの家庭が困難な状況に直面しました。- 蓄電池を備えた家庭では冷房や照明が利用でき、避難生活の安全性と快適さが向上しました。
- 太陽光発電と蓄電池の組み合わせによって、停電中でも家電を使用し、生活の質が向上した事例もあります。
- 2022年3月 東北地方地震
東北地方で停電が発生し、多くの地域で数時間から数日間の停電が続きました。- 蓄電池と太陽光発電を組み合わせた家庭では、停電中でも電力を安定的に供給でき、特に冬場の寒さから守るために暖房や照明が利用できました。
これらの事例は、蓄電池と太陽光発電が災害時の停電対策として非常に有効であることを示しています。両者の組み合わせにより、停電中でも生活に必要な電力が供給され、家庭の安全と快適さが確保されました。
日常生活での蓄電池活用:節約効果も
蓄電池は災害時だけでなく、日常生活の電気代節約にも役立ちます。特にFIT(固定価格買取制度)適用期間中は、深夜電力を蓄えて高い昼間や夜間の電気料金を避けて使用することが可能です。
- 卒FIT前
深夜電力を蓄電池に充電し、昼間や夜間に利用することで大きな節約効果が得られます。 - 卒FIT後
太陽光発電の電力を自家消費し、余剰電力を蓄電池に充電。昼間の安価な電力を活用し、夜間の高い電気料金を抑えます。
蓄電池を賢く使おう
蓄電池は災害時の備えとしても、日常生活の電気代管理にも役立つ優れたツールです。必要性を理解し、最適な選択をすることで、経済的でエコな暮らしを実現しましょう。